RESEARCH

地震時における建物の構造被害,非構造被害,機能低下などを包括的に評価することを目指し,そのためには多様かつ詳細な情報を取り扱う必要があることから,BIM(Building Information Modeling)とFEM解析を基軸とした評価体系の構築について,構造・非構造部材に関するそれぞれの研究成果を活用しながら取り組んでいます。
関連文献:https://doi.org/10.3130/aijs.87.464
建築物の地震時の挙動を予測するには,それを構成する各部材の力と変形の関係や破壊メカニズムを把握することが肝要です。下の写真等は,高い剛性・強度・靭性能を有する曲げ破壊型耐震壁の変形・破壊メカニズムを分析するべく,地震時を模擬して耐震壁試験体を静的に載荷し,その時の詳細な変形および分布を赤外線カメラおよび光ファイバひずみゲージにより計測し分析に用いた事例と,実大5階建てRC造架構の震動台実験の事例(国交省基整促S30,事業主体:堀江建築工学研究所等)です。
関連文献: https://doi.org/10.3130/aijs.90.1312
https://doi.org/10.3130/aijs.88.276
https://doi.org/10.3130/aijs.87.464
地震時には,構造体が無事であっても,非構造体が損傷することで,人命が損なわれたり,個々の建物のみならず社会全体としての機能が大幅に低下しかねません。
下の写真等は,建物の外装材(カーテンウォール)を用いた地震時アラートシステムの実証と非構造部材の耐震性評価に関する研究事業(事業主体:防災科学技術研究所等)において実施した,実大10階建て鉄骨造オフィス試験体の震動台実験の様子と,カーテンウォールの挙動を赤外線カメラにより計測した事例です。
関連文献:https://doi.org/10.20965/jdr.2025.p0651
2011年東北地方太平洋沖地震に伴う津波では甚大な被害が生じた一方で,建物への避難によって多くの人命が救われました。 そういった津波避難施設の設計用津波荷重を検討するべく,国土交通省事業(2011年度基整促40,研究代表者:中埜良昭教授)の一環として,以下の写真に示すような津波来襲地域の構造物の耐力と被害形態に基づいて陸上構造物に作用した津波外力を評価しました。 評価結果は津波避難ビル等の構造上の要件を定める2011年国土交通省告示第1318号に反映されており,その告示に基づき,沿岸部の津波避難空白域を解消するべく各自治体により津波避難施設の整備が進められています。
関連論文:浅井竜也,舘野公一,中埜良昭,福山洋,藤間功司,芳賀勇治,菅野忠,岡田恒男:2011年東北地方太平洋沖地震による建築物等の被害調査に基づく津波荷重の評価 比較的単純な工作物および建築物の被害調査結果に基づく検討,構造工学論文集,Vol.58B,pp.97-104,2012.3
津波来襲時には,波による力のみだけでなく,波によって漂流した物体の衝突力に対しても安全性を確保する必要があります。 特に大規模な船舶は衝突によって建築物を崩壊させかねません。 そのため,2011年東北地方太平洋沖地震による津波来襲時に取得されたAIS(Automatic Identification System)データ等に基づいて船舶の挙動を分析することで,どのような船舶が陸上建築物にとって衝突の脅威となり得るかをを分析しました。 漂流物には多くの種類があるため,それらに対する設計法を体系的にとりまとめていく必要があります。
関連論文:https://doi.org/10.3130/aijs.87.413
地震による被害の実態を把握することは,建築物の将来の地震被害を低減する上でとても重要です。 上記「建築物への津波外力評価」時に行った2011年東北地方太平洋沖地震以外にも,以下の地震の被害調査にこれまで参加しました。

2024年能登半島地震

2023年トルコ・シリア地震

2018年台湾花蓮地震

関連文献:浅井竜也:2018年台湾・花蓮(Hualien)地震の被害調査速報,建築防災,日本建築防災協会,No.485, pp.25-35,2018.6

2016年熊本地震