2011年東北地方太平洋沖地震に伴う津波では甚大な被害が生じた一方で,建物への避難によって多くの人命が救われました。
そういった津波避難施設の設計用津波荷重を検討するべく,国土交通省事業(2011年度基整促40,研究代表者:中埜良昭教授)の一環として,以下の写真に示すような津波来襲地域の構造物の耐力と被害形態に基づいて陸上構造物に作用した津波外力を評価しました。
評価結果は津波避難ビル等の構造上の要件を定める2011年国土交通省告示第1318号に反映されており,その告示に基づき,沿岸部の津波避難空白域を解消するべく各自治体により津波避難施設の整備が進められています。
関連論文:浅井竜也,舘野公一,中埜良昭,福山洋,藤間功司,芳賀勇治,菅野忠,岡田恒男:2011年東北地方太平洋沖地震による建築物等の被害調査に基づく津波荷重の評価 比較的単純な工作物および建築物の被害調査結果に基づく検討,構造工学論文集,Vol.58B,pp.97-104,2012.3
津波来襲時には,波による力のみだけでなく,波によって漂流した物体の衝突力に対しても安全性を確保する必要があります。
特に大規模な船舶は衝突によって建築物を崩壊させかねません。
そのため,2011年東北地方太平洋沖地震による津波来襲時に取得されたAIS(Automatic Identification System)データ等に基づいて船舶の挙動を分析することで,どのような船舶が陸上建築物にとって衝突の脅威となり得るかをを分析しました。
漂流物には多くの種類があるため,それらに対する設計法を体系的にとりまとめていく必要があります。
関連論文:
https://doi.org/10.3130/aijs.87.413